Messageごあいさつ

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 東京大学では、文部科学省支援事業「高度医療人材養成拠点形成事業」の一環として、「高度がん医療に対応する人材養成と基盤強化」をテーマに掲げ、高度化するがん医療を担い、がん研究を牽引する人材養成と基盤強化に取り組んでいます。
 近年、がん遺伝子パネル検査をはじめとしたがんゲノム医療の普及が急速に進む一方で、ゲノム情報を的確に解釈し、最適な治療や遺伝カウンセリング、さらには研究開発へとつなげることのできる人材の不足が全国的に顕在化しています。この課題に対応すべく、卒前教育強化のために医学部M3/4期に一週間の必修実習として「がんゲノム医療実習」を新設しました。大学院生教育においては、「実践がんゲノム病理学」の新設をはじめ様々ながん関連講義を設定するとともに、エキスパートパネルへの参加やTA・RA活動などを通してがんゲノム医療の実践的な知識と技術の習得を促進しています。卒後教育においては、充実した講師陣による「TR・アカデミア創薬人材育成プログラム」を立ち上げ、基礎研究から臨床開発・社会実装に至る橋渡し研究を担う人材を育成します。
 さらに、高度医療やがん研究の発展を支える基盤として、バイオリソースセンターの機能強化にも取り組んでいます。高度医療の実践に必要な分子病理的解析支援体制を整備するとともに、ヒト試料を収集・管理するバンキング機能の強化、学内外の研究者が利用しやすい体制構築を実施します。
 このような人材養成と基盤強化を連動させて推進し、高度化するがん医療の実践とその未来を担う人材を育成することを通して、我が国の医療・医学に貢献すべく全力で本事業に取り組んでまいります。

南學正臣
東京大学大学院医学系研究科長・医学部長 南學正臣